小児矯正
ご家族と何でも話し合える関係を築く
小児矯正の目的は、顎関係の改善です。つまり「永久歯に生え変わったとき、歯を抜かずにすむ顎の環境を整える」ことです。その為に、治療期間は「永久歯が全て生え変わるまで」の長期間です。
しかし、保護者様の多くは矯正治療経験がありません。そのため、治療開始時期や治療期間、治療中の痛み、あるいは費用など不安でいっぱいです。
当院の院長は小児矯正に携わった過去の治療経験より、ご家族とのコミュニケーションを大切にした、何でも話し合える関係を築けるよう心がけています。
「子供でも、矯正装置が使えるの?」
「どの程度の痛みまで我慢させればいいのですか?」
こうした疑問や不安に対してわかりやすく簡潔にお答えします。ご家族の安心は、お子さまの安心につながります。疑問や不安なことがあれば、遠慮せずにご質問ください。
子供の矯正を始めるタイミングとは?
一般的に7~9歳、永久歯の前歯と奥歯が生えてくる時期のご来院をお勧めしています。理想的には成長上にアンバランスが出始めたころから何らかの対策を講じた方が良いといえるでしょう。
しかし、顔が一人ひとり異なるように、歯や顎、そして心の成長はお子さまによって千差万別です。早い時期に矯正を始めた方が良いお子さまがいれば、しばらく成長を待ってから始めた方が良いお子さまもいます。
一つ言えることは、骨格の不調和をそのままにしておくと5年後・10年後に不調和が更に大きくなり、その結果、矯正治療が難しくなる場合があります。もし、お子さまの歯並びが気になるようでしたら、なるべく早めに矯正を専門とする歯科医院を訪ねてみることをお勧めします。早めといっても未就学から始めることはありませんので、小学生になってからで充分間に合います。
子供の矯正の流れを教えてください
子供の矯正の場合、始めからワイヤーの装置を付けて治療をスタートするわけではありません。小児矯正は大きく分けて2つのステップがあります。
ステップ1/第1期治療(小児矯正)
この時期は、永久歯の萌出するスペースをつくり、歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼす咬み合わせの調整を行い、順調な顎の成長や歯の生え変わりを誘導します。第1期治療がうまくいくと第2期治療では永久歯を抜かずに治療できる可能性が生じます。
第1期治療の目的は、顎誘導・咬合誘導です。きれいな歯並びや咬み合わせが整うわけではありません。
理想的な歯並びや咬み合わせを確立させるには第2期治療が必要です。
ステップ2/第2期治療(成人矯正)
ワイヤー矯正のことです。上下すべての歯にブラケットを装着し、歯のねじれや歯並びを整え咬み合わせを仕上げる治療です。※初診時に永久歯が生え揃っている方は第2期治療からです。
子供の矯正で使用する装置を教えてください
当院では顎の成長をコントロールするために、主に「拡大床(プレート)」「バイオネーター」「ヘッドギア」「フェイシャルマスク」を使った矯正治療を行っています。これらの装置は1日10時間以上、1年以上の装着が必要です。装着はできるだけ長時間、長期間の使用が理想ですが、お子さまの都合がありますので、ライフスタイルに合わせた使用をご提案しています。
拡大床(プレート)
取り外しできるプレート(床)により、歯の移動と顎の骨の拡大を行う矯正治療です。取り外しが簡単ですので、食事の間はお子さま自身で外せます。
歯を正しい位置に動かすとともに、歯の土台そのものを正しい大きさに拡大します。床矯正装置にスクリューが装着されており、ネジを巻いてスクリューを移動させることで、歯の土台を広げたり歯を動かします。
バイオネーター
主に下顎の成長を前方あるいは後方に誘導する目的の矯正装置で、下顎と上顎の咬み合わせを良くし、出っ歯や受け口や過蓋咬合を調整します。この装置は下顎を正しい位置に誘導するために、咬み合わせたときに下顎が適正に成長するよう作られています。
ヘッドギア
上顎の成長が強すぎるために起きる上顎前突や出っ歯に適応し、上顎・第一大臼歯から後方に力をかけ、頭部から後ろに引っ張るようにして装着します。
上顎の成長を抑え、上顎の奥歯を後方に移動させます。力の加え方を調整しながら顎の成長をコントロールします。取り外しが簡単に行えて、就寝時か自宅内で使用します。
フェイシャルマスク
上顎の成長が悪く、下顎の成長が旺盛なために受け口になっているケースは、フェイシャルマスクを使用して矯正治療を行います。おでこと下顎の間についている金具に上顎を前方に引っ張り、下顎を後方に抑えるためのゴムを取り付けます。これにより受け口を改善します。取り外しが簡単に行えて、就寝時か自宅内で使用します。
機能的咬合誘導装置
マウスピース型咬合誘導装置。口腔周囲の機能異常の向上を図る装置です。歯並びや咬み合わせに関係する悪習癖を取り除き、正しい顎の発育、顔面筋の成長を促し、歯並びや咬み合わせの環境を向上させることを目的として使用します。
正しい呼吸や嚥下を覚えることで本来あるべき成長をし、その結果として歯並びもあるべき方向に誘導されます。
小児矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感や違和感、軽度の痛みは、数日から1、2週間で慣れることが多いです。
- 装置の使用状況、定期的な通院等、矯正治療は患者さまの努力が必要となります。それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、虫歯や歯周病のリスクが高まるため、丁寧なブラッシングや、定期的なメンテナンスが重要になります。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
- 治療中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題による影響で、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す際、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、被せ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態の被せ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- 治療後に顎の成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生え、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせると咬み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
- 骨格的な問題のある場合や予期せぬ成長のあるケースでは、外科的な対応が必要となる場合があります。
- 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。